◇患者のための薬局ビジョン
国からの期待は、2015年に厚生労働省が出した「患者のための薬局ビジョン〜「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ」に記載されている通りだと、私は認識しています。
詳細はそこに記載されているので、今回は省略します。 |
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◇患者からの薬剤師への期待 患者から薬剤師への期待は、「健康な生活を確保する」に尽きます。
これは、まさに薬剤師法第1条と言えます。
では、薬剤師の皆さんは、薬剤師という資格を活かして、「健康な生活を確保」できているかを確認してみましょう。
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◇実際に「健康な生活を確保」できていますか?
実習1)最後に服薬指導した患者を思い浮かべてください。
実習2)その患者自身の「生活」に関して、キーワードを書きだしてください。
実習3)挙げたキーワードから、その患者のキャッチフレーズを作ってください。
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◇患者の生活を把握する
実習2はできましたか?
この実習の意味は「患者の「確保すべき生活」の大切さを理解している」ということです。 実は、Q1でお隣の方と「生活」について自己紹介をし合っていただきました。そこに挙げられな内容が生活なのです。
その患者版を、あなたは日頃から把握していますか? 実習3はできましたか? この実習の意味は「患者の生活に関する情報を薬局内で共有している」ということです。
患者の生活情報は、薬歴管理システムなどを使って薬剤師間で共有する必要があります。そのためには、患者との対話の中から、大切なキーワードをつかみ、それを文字に起こすという練習が必要だと私は考えています。
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◇「確保すべき健康な生活」は全員異なる 当然ですが、患者の「確保すべき健康な生活」は全員異なります。 つまり、患者に対して、何を目的に薬剤師がかかわるかは、一人ひとり異なります。 そして、一人ひとりの確保すべき生活が何かについて、薬局内で共有することが重要であり、これが患者と薬剤師の関係性を築く、「スタートライン」であると私は考えています。
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◇健康な生活を確保するために薬剤師がすべきこと 患者と薬剤師のかかわる目的が明確になったうえで、ようやく薬剤師のかかわり方、すなわち手段を考えることになります。
今回は、時間が限られているので「健康な生活を確保するために薬剤師がすべきこと」について2つだけ提案します。
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◇薬剤師の業務1 患者の理解度をチェックする 薬剤師の業務の1つ目は「患者の理解度をチェックする」です。
現状の例を挙げましょう。みなさんは、1日3回の服薬が必要な薬の服薬指導はどのようにされていますか?
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◇あなたの服薬指導は? あなたは実際に、どのように服薬指導しているか、その文言を記載し、お隣の方と意見交換してください。
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◇「1日3回食後服用」の指導は最悪である 実は、私は、1日2食しか食事をしない生活スタイルです。 このような患者はどうやって服薬すればいいのでしょうか? そもそも、患者の生活スタイルを確認することなく、一方的に指導するこの服薬指導はいかがなのでしょうか?
薬剤師に必要なは、(一方的に)指導することではなく、患者の生活の中で薬をきちんと飲めているかを「チェック」することです。
例えば、「1日3回飲んでください」ではなく、「1日3回の薬をどういうタイミングで飲みますか?」という「チェック」が、薬剤師が行う本来の服薬指導なのではないでしょうか?
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◇理解度チェックの事例 患者が、Yes.No で答えられる質問は意味がありません。 「ちゃんと飲んでいますか?」ではなく「どのタイミングで飲んでいるのですか?」。 「質問はありませんか?」ではなく「不安や疑問なことは何ですか?」。
そうやって、患者がしっかりと考えないと答えられない質問をすることで、薬剤師は理解度をチェックするべきだと私は考えます。
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◇薬剤師の業務2 患者を教育する 薬剤師の業務の2つ目は「患者教育をする」です。
セルフメディケーションという言葉が一般的に使われるようになりましたが、患者にとっては具体的に何をしていいのかわかりません。
それを薬剤師が教育するべきだと思います。
薬剤師以外に、患者を教育できる職種はあるでしょうか?
みなさんの力が必要なのです。
一つの例として、私のお薬手帳の使い方を紹介します。
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◇お薬手帳を教育に活用する。 例えば、「通院日には、手元の薬を数えて、残薬数をお薬手帳に書いてください」という教育をすれば、それぐらいできる患者はいることでしょう。
私の場合は、さらに、その残薬数を主治医に見せて、処方箋に反映してもらいます。
また、主治医や薬剤師の説明メモをお薬手帳に書くことで、患者、医師、薬剤師がいつも同じ情報を共有できることになります。
今後の治療計画も書いており、これは薬剤師にとっては、この患者の次の来訪日がわかることになります。
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◇本来は教育プランを開発する このように患者に一つひとつステップアップできるように誘導する教育プランを開発するのが薬剤師としての業務になってほしいと思っています。
しかし、いきなりそのようなプランやツールを作るのは現実的ではないと思いますので、先ほど例示したように、まずはお薬手帳を有効活用してみてはいかがでしょうか?
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